漢方便秘薬の常習性

漢方の便秘薬なら、飲み続けても体に害(常習性など)はありませんか?

化学合成された「西洋薬」に対して、動植物や鉱物など自然界の生薬を組み合わせたものを「漢方薬」と言います。

漢方薬の特徴として
・体質によって作用に差が出る
・穏やかに効くものが多い
・西洋薬に比べて副作用が少ない
といったものが挙げられます。

これらのイメージから、漢方薬は身体に優しく副作用がない、と考える方も多くいますが漢方薬も「薬」であり「作用」がある限り、体に何らかの影響を及ぼしているわけです。
それはつまり、害にもなり得ます。
ですから「漢方なら安心」と常用・多用することはおすすめできません。

しかし難しいのが、漢方は人によって効果に差が出るという点です。
西洋薬は、例えば解熱剤なら「熱を下げます。かわりに眠気が出ます。」と決まっていて、体重や病状で差はあっても、その効果に変わりはありません。ところが漢方薬は、複数の成分が様々なバランスで配合されているもので、年齢や体質によって効く人・効かない人の差が大きくなっています。
同じ薬でも効果が出る人、何も効果がない人、副作用が出る人もいます。
中には重大な影響を受ける可能性があり、処方できない人もいます。
牛乳を飲むとおなかを下してしまう人、どんなに飲んでも平気な人がいるのと同じです。
ですから、副作用が必ず出るとは言えず、しかしないとも言い切れない微妙なバランスのものなのです。
たとえ副作用がなくとも、飲み続けて害が出ないとは言い切れません。
長く飲むことで胃を悪くするなど影響が出ることも考えられます。
それ以前に、長く飲み続けるというのは、つまり症状が改善されないということで、その漢方は体に合っていない、と言えるでしょう。
そんな薬を飲み続けるのは無意味ですから、しばらく飲んでも効果が出ない場合には薬を変える必要があります。

このように体質による「合う」「合わない」を見極めなければ、漢方の効き目は得られません。その為、漢方も西洋薬と同じように専門家に処方してもらうことをお勧めします。
用法や用量は、その専門家先生の指示に従ってください。



便秘にカッシア・アラタ

便秘にカッシア・アラタって効果があるのですか?

カッシア・アラタは、キャンドルブッシュ・ゴールデンキャンドルとも呼ばれるマメ科の植物で、インドネシアやインドなど熱帯アジアに自生しています。
特にインドネシアのスマトラ島に多く、現地では薬用として使われているのです。
その歴史は古く、1300年もの昔からインドネシア王室の貴婦人たちの美を支えてきました。

葉をすり潰して湿布にすれば、皮膚炎や虫刺されに葉を煎じて飲めば抗真菌や便秘改善の効果があるとされ、薬膳として食されることもあるそうです。
カッシア・アラタが便秘改善に効果的なのは、アントラキノンやクリソフェノールといった下剤作用のある成分が含まれているからです。
それほど強力な効果はありませんが、緩やかに腸を刺激して排泄を助けてくれるでしょう。

他にミネラルやビタミンも豊富で、ポリフェノールによる抗酸化作用も期待できるので、日本では女性向けの美容茶として販売されています。

このお茶は濃く入れたりたくさん飲むと下剤作用が強くなってしまうので、様子を見ながら飲むようにしてください。



便秘に腸内洗浄は有効?

便秘に腸内洗浄は有効ですか?

腸内洗浄とは、肛門から専用の洗浄液を直腸へ入れ、腸内をきれいにするというものですね。
腸内の毒素を排出できる、ということでダイエットなど美容的にも注目されています。
また、便秘の解消に利用される方もいるようです。

ですが、腸内洗浄は便秘を解決できるものではありません。
下剤と同じで、一時的に便を排泄させられるだけです。
薬や洗浄液の力で便の排泄は出来ますが、根本の解決ではないのでまた便秘になってしまうかもしれません。
また、腸内洗浄の刺激に慣れてしまえば、より腸や肛門は鈍感になって便秘を悪化させることにも繋がります。

便秘の解消には、その原因を知り改善することが必要になります。
その原因は食生活であったりストレスであったり、あるいは消化器官の病気かもしれません。
もし病気であった場合、腸内洗浄で力ずくの解消を続けるうちに病気が進行することもあるでしょう。

このように長期的な目で見ると、腸内洗浄は便秘に有効とは言えないでしょう。
まずは生活習慣の見直しやサプリメントなどで体内バランスを整えることをお勧めします。



便秘と下痢を繰り返す

便秘と下痢を繰り返しています。病気の疑いがありますか?

便秘症の方で、便秘が解消されるときに下痢になる、という場合があります。

便秘の時、腸は吸収を続けているので留まった便は段々水分を吸収され、固くなっていきます。
一方で、まだ腸に来たばかりの排泄物は水分が多く、柔らかい状態です。
長く便秘が続くと、腸の許容量の問題もあって排泄が促されますが
この時、出口付近の硬い便だけでなく、まだ柔らかい便も一緒に押し出され、結果として下痢になるわけです。

普段から便秘の期間が長く、下痢の時は少ない、という方はこのパターンが多いでしょう。

しかし特に便秘症ではない、便秘と下痢が交互に来る、という方には過敏性腸症候群や胃下垂、大腸がんなどが考えられます。

過敏性腸症候群は、ストレスなどの要因で胃腸の働きが悪くなるものです。
症状としては、腹痛やケイレン、便秘と下痢を繰り返す、などがあります。
先進国での発症が多く、特に日本は患者さんが多いようです。

胃下垂は、機能性胃腸症とも呼ばれます。
胃が正常な位置に収まらず、下の方へ伸びてしまっている状態のため、働きが悪くなります。
胃の機能が低下すると腸でも消化不良が起きてしまうので、便秘や下痢を引き起こしてしまいます。

便秘と下痢を繰り返すのは、大腸がんの初期症状でもあります。
大腸がんは進行度やがんのできた位置によって症状が変わりますが、初期には腹痛や便秘、下痢、あるいは便秘と下痢を繰り返すなどの症状が出ることがあります。
しかし初期にはほとんど症状が出ず、発見しにくいものです。

バランスの良い食生活や適度な運動など、おなかを労わっても症状が続く場合は、一度消化器科で相談されるのも良いかもしれませんね。



便秘の薬による弊害

便秘の時に薬は飲んだ方が良いですか?飲み過ぎはよくないですか?

便秘の薬と言えば、下剤と言うことでしょうか。
それでしたら、一概に「飲んだ方が良い」とは言えません。
重度の便秘は病気や肌荒れなどの原因となり、体を壊してしまいますから、多少は薬の手助けも必要でしょう。
しかしやはり薬は毒ともなりうるもので、あまり飲み過ぎてはいけません。

まずは食生活の見直しや運動など、薬に頼らない便秘解消法を試してみてください。
それらの方法を試しても改善されない場合に、最後の手段として下剤を使うのが良いでしょう。

下剤には、刺激性・浸潤性・膨張性・塩類などの種類があります。
それぞれに作用が違い、副作用も違いますから、使用する種類はきちんと確認してください。
原則として、最初は「弱い薬を最小量」から始めてください。

強いものを使ったり、量を多くしたりすると体が過剰に反応してしまうことがあります。
また、下剤に頼っていると体が薬に慣れて、効果が出にくくなることもありますし、そこからさらに強い薬へと進んでいくと、下剤がなくては排便できない依存状態に陥る可能性もありますから、使用量や頻度には注意してくださいね。

もし、生活習慣を改善し、下剤を飲んでも便秘が続く場合には、何かの病気が考えられます。
便秘は何かしらの病気のサインである場合もあります。
下剤で排泄を済ませていると、このサインを見落としてしまいかねません。
ですから、便秘が続く場合には一度診察を受けると良いでしょう。